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心をあたためるはなし、感動する話  読み物編

ここのページはすべておすすめです

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水底の棺 忘れ川をこえた子どもたち
鳴り響く鐘の時代に 旅立ちの翼
トラベリング・パンツ わが家への道
農場の少年   はじめの四年間  
家なき鳥   ムーン・キング  
イングリッシュ・ローズの庭で   マディソン通りの少女達シリーズ  
ジェリコの夏   ぬいぐるみを檻に入れられて  
ライディング・フリーダム   ビリー・ジョーの大地  
ナバホの歌   リトル・トリー  
からくりからくさ   緋色の皇女アンナ  
スターガール   大草原の奇跡  
  奇跡の子  
森は生きている   「時の旅人」  
金子みすゞ豆文庫   「農場にくらして」  
のはらうた   「橋のない川」  
長い冬   「モヒカン族の最後  
「小さな家」シリーズ   「クマよ」  
「悪童ロビーの冒険」   「黒い兄弟」  
「あなたがもし奴隷だったら」   サラの旅路  
       



 

水底の棺 中川なをみ作  くもん出版

時代は、平安末期。源平から鎌倉初期にかけて。河内の国に住む少年小松が
やっかいものとされて京の商人に売られ、盗賊の片棒をかついだり、磁器を商ったり
東大寺の再建の労役をしたりした後に、故郷の池の改修に力を注ぐ物語。

河内の国の狭山池というのは、僧の行基が改修した池として有名だそうで
物語の時代にはすでに堤防がこわれて洪水をおこしたり、かんばつには用を足さなかったりしていました。
小松の父親は貧しい村人の編んだぞうりや蓑を、売りに出かけてそのまま帰らないという人でした。
河内の狭山の里の窮状も大変なものでしたが、京の都はもっとすごい。
流行り病で死んだ人が道端に捨てられ、橋の下には行き場のない人が施しを求めてたむろしている。
小松の運命を決めていく人が、何人か現れては消えていくのですが
初めは僧重源と蓮空。次が盗賊のサスケ、その次は磁器を商う男、宋の国からきた恵海
なかでも重要な位置をしめるのが幼なじみのゆうでした。
故郷を追われてなお、ゆうに会うために立派な人間になろうと思いつづけた小松。
サスケと盗賊に入った家で、おばあさんを殺してしまったことが生涯罪の意識になって残ります。
サスケと縁を切って、東大寺の再建に力を尽くす重源の元で労役をしながら蓮空の人となりに触れ
美しいものに心を動かされる蓮空に共感していきます。
ゆうのことが忘れられない小松は、故郷でゆうが遊女に売られたことを知り
京の町を探し回ります。
彼女はサスケのかこいものになっており、サスケが実の父親であることを知ってしまいます。
ゆうとふたりで故郷へ逃げる途中でゆうは死んでしまいます。
悲しい物語なのに、小松の前向きでしたたかな姿勢が明るさを運んでくれます。
このたくましさ、清らかさは現代人が忘れてしまったものかもしれません。

小松の次の仕事は狭山池の改修でした。米がとれない貧しさは水のため。
その水を供給する池の改修をすることに小松は命をかけます。
心の中にいつもゆうが住んでいます。
本題の「水底の棺」、というのは狭山池の底に沈められた石の棺から来ていたことを
わたしは最後に知ります。歴史上の事実と知ってとても興味深かったです。

忘れ川をこえたこどもたち マリア。グリーペ作  大久保貞子訳 冨山房

忘れ川の中州の城に住む領主は、ありがとうという言葉が言えず、
夫人はその言葉を夫から聞きたがり、そのためには子どもを夫に贈ればいいのだと思っています。
ガラス職人の子どもたちクラースとクララが、領主によってさらわれ、忘れ川をこえたことで
自分たちの親のこと、ふるさとのことを忘れてしまいます。

子どもがさらわれる前、ふたりの母親が緑色の石のついた指輪を手に入れるのですが
それを手にしたとたん、物欲が芽生えて、子どもたちを邪魔に思うようになります。
指輪の元は、大ガラスの目。占いおんなのフラクサが飼っている物言う鳥の「夜の目」でした。
フラクサは、子どもたちがさらわれることを占って、父親に教えるのですが
愚かになってしまった母親はそのことがわからず、子どもから目を離したすきに
さらわれてしまいます。
忘れ川の城の中では、階段を山にみたてて遊ぶ子どもたち。
ガラス器が知らないうちに割れる。
心を病んだ領主夫人のすることはどれもおかしい。
ガラスを割るのがクラースだと知って家庭教師ナナをやとうのですが、
それがまた抑圧的な女で、一日中食べて寝るっを繰り返すという欲望の塊

願い事をかなえるのが勤めだと思いこんでいる領主。
すぐかなえられる願い事ならしても仕方がないと考えて心を閉ざした夫人。
その心を解きほぐしたものは、「夏の雲、過去の自分」でした。
願い事をずっと持ちつづけることの素晴らしさを知ったのです。
領主もありがとうが言えるようになります。
フラクサは、ナナとの対決によって子どもたちを救い出します。

大ガラスの目は、指輪が母親からフラクサの手に戻ったことによって
物が正しく見えるようになります
「昼の目」と「夜の目」、善と悪との両方を見つめることのできる者こそ賢い
この教訓が満ちているお話でした。


鳴り響く鐘の時代に   マリア・グリーペ  大久保貞子訳 冨山房

 

13歳で王位を継いだアルヴィドは心に闇を持ち、人間不信、不眠症
こんな簡単な病名だけでは言い表せないような深い悩みを持った少年でした。
彼が王として自覚を持つために、先生のヴェームンド師が考えたのは
王の鞭打ち。でもそれには身代わりの少年を使うということでした。
身代わり少年ヘルガが鞭打たれるときにアルヴィドが感じた強い絆
これが最後には血の絆だったことがわかるのですが
王として生きるより、普通の人間として心のおもむくままに生きることを願った
アルヴィドと、同じく回りに左右されない自己を持ったいとこのエンゲルケの
最後の会話がすばらしい。
また、一日だけの道化の王としてふるまったヘルゲの沈着冷静さに
本物の王としての素質を感じました。
占星術によって予言されたエリシフ(エンゲルケの妹)の王妃としての未来は
結局ヘルゲとの結婚、ヘルゲの即位、アルヴィドの王位からの解放
ということで終わるのですが
わたしは、なるべくしてなったという気がします。
一日が鳴り響く鐘の音で始まり、終わった時代
鐘の音に自分の人生を左右されていると感じた若者の心に共感しました。
自分の意思より先に、生まれや地位によって立場が決まってしまう
過去の時代に、自己の目覚めに悩んだ若者たちの姿が
新しい感覚で書かれていて、どきどきしました。

「ぼくは木の葉だけど、風でもあるんだ。
木の葉は風に、どこへ運ぶのかとたずねないし
風も木の葉に、どこへ行きたいのかとたずねはしない。・・・・・
つかまえることはだれにもできないよ。」

心のままに生きていくことを決心したアルヴィドの言葉です。

旅立ちの翼  プリシラ・カミングス  斎藤倫子訳  徳間書店

お父さんが失業して、家族とおじいちゃんの家に引っ越してきたウィル。
以前は明るくて頼もしかったお父さんが、空っぽになってしまい、
お母さんも、双子の妹たちの世話とお金がない苦しさで怒りっぽくなっていきます。
おじいちゃんは、さみしいウィルに狩をしようと誘い、
昔の道具でガンを打ち落とすことを教えようとします。
心臓の悪かったおじいちゃんは、鉄砲を構えたときの緊張で
発作を起こし、病院へ担ぎ込まれます。
おじいちゃんを喜ばせるためにガンを打ちたい、
でもそんな無残なことはしたくない、悩むウィルですが、
鉄砲を構えた拍子に、ガンを打ち落としてしまいます。

母親や級友にうそをついて「傷ついたガンを助けた」ふりをするのですが
偽善に耐えられないウィル。
何とかしてガンを助けようと必死になります。
命の危ないおじいちゃん、仕事を探しに行ったまま帰ってこないお父さん、
言葉を話さない双子の妹、鉛の玉の中毒で死ぬかもしれないガン、
ウィルの心は千路に乱れます。

ガンの傷は奇跡的に治り、よく鳴くようになり、言葉の出なかった妹が
初めて「カン、ヨクナク」と発声します。
その反対におじいちゃんが息を引き取り、お父さんが家に帰ってくる。

こんな単純な内容なのに、なぜか心に残ります
家族の絆が描かれているからでしょうか



トラベリング・パンツ   アン・ブラッシェアーズ 理論社



誰がはいても似合う魔法のジーンズ。
仲良し4人組みが夏休みを離れ離れで暮らすことになったので
古着屋で手に入れたそのジーンズを順番に送りあって、次々にはくことにしました

はじめはレーナ 美人で男嫌い、自分を前に出せない性格
ギリシャの祖父母の家へ妹と出かけます
彼女を好きなコストスとトラブり、傷つきます
次はティビー 家に残ってスーパーマーケットのアルバイト
自分にあこがれてくっついてきた少女ベイリーとの生涯の別れ
によって落ち込んでいきます
3番目はカルメン 離婚して、離れて暮らしている父に会いに行くのですが
そこには再婚相手とその子どもたちがいて
彼女の悲しみをわかってくれる人はいない
最後はブリジット スポーツ大好きでサッカーのキャンプで大活躍します
大学生のコーチと恋愛したくてチャレンジするのですが
15歳の彼女はふられてしまいます

一度目で魔法のパンツをはいても、いいことがなく、傷つく彼女たち
二度目に回ってきたとき、やっと彼女たちの心の傷が癒され、それぞれ成長を遂げます
普通の少女の普通の悩みが率直に表れていて、好感度抜群でした
父親に裏切られたカルメンの怒りと悲しみが一番共感できました
ジーンズをはくための10の約束のうち、最後の
ジーンズを見たらみんなの愛を思い出すこと、友を愛し、自分を愛すことというのが
最後に実現されていたのがうれしかったです



          

 
 


わが家への道    ローラの旅日記
ローラ・ワイルダー  岩波少年文庫

この本は三章からなっていて、一章と三章はローラの娘ローズが書き
二章はローラがダコタからミズーリ州へ旅をしたときに書いた日記の形になっています

はじめの4年の後、アルマンゾの実家を頼ってミネソタへ行ったり
アルマンゾの療養のためにフロリダへ行ったりしますがまたダコタに戻ってきます
そこでミズーリ州にある「大きな赤いリンゴの土地」のうわさを聞き
二人はそこへの移住を決め、費用をせっせと貯めます。

稼いだ100ドルをアルマンゾの作った文具箱にしまい
幌馬車で6週間の旅に出ます
砂漠を通ったときの土ぼこりのすさまじさ、開拓者の幌馬車の長い列、
夜のキャンプで泥棒に出くわしたこと
などが短い言葉で、きっちりと書かれています。
後にローズの力添えで「小さな家」シリーズを出す
ローラの才能が表れている日記です

一生をそこで過ごすことになるミズーリ州マンスフィールドの
「ロッキーリッジ農場」に到着した日で日記は終わっています。
「お母さんが口笛を吹いている」
そうローズが第三章で書いていますが
明るい兆しが見えるこの本の終わりに安心感がどっと押し寄せてきます

 
 

 

はじめの四年間
ローラ・ワイルダー  岩波少年文庫

ローラがアルマンゾと結婚してからの最初の4年間を書いた物語
ここではアルマンゾはマンリーになっていて
ほかのシリーズと趣が異なっています
事実を直感的に書き綴った感じがします。
なぜなら、ローラにとって幸せであるはずの時期なのに
もっともつらい時期になってしまったからです。

「長い冬」で、アルマンゾは町の人のために遠い町から小麦を取りに行って
生還した英雄ですが、ローラと結婚してからも労働を愛し、
生活に工夫を加える賢い農夫になっていました。
ローラも子どものころの厳しい経験を生かして、
夫を助けてよく働く立派な主婦になりました
ところが当時開拓していたダコタのデスメットは大干ばつが続き
何度小麦をまいても枯れる、実ったかと思えば雹にやられてしまう
働き手のアルマンゾがジフテリアの後遺症で足が効かなくなってしまう
最悪なのは建てたばかりの新居が火事で全焼してしまうのです

現代人ならここで、人生に疲れて逃避してしまうのですが
二人は不屈の精神で新しい道を切り開いていくのです
なかでも、ローズの誕生は二人にとって大きな幸せでした
火事の中から持ち出されたガラスのパン皿が二人に勇気を与えています。
不幸のなかでちいさな明かりを見つけ、それを生きる糧にしてしまう
そういう心の切り替えができて、いつも前向きでいること
不屈の精神とは、明るい心と同時に持って初めて成り立つのだな
と感激しながら本を閉じました

 

 
 

農場の少年
   ローラ・ワイルダー   青い鳥文庫

小さな家シリーズの作者、ローラの夫アルマンゾ・ワイルダーの少年時代を描いた作品です
ローラの家がつらい開拓者なのに対して、ワイルダー家は裕福な農家でした
4人兄弟の末っ子のアルマンゾは、お父さんのように家畜をたくさん飼い、
馬を操れる立派な大人になりたいと願っていました

お父さんの仕事は家畜を育て、売ってお金に換えること
冬に湖から氷を切り出し、かえでの樹液でメープルシュガーを作ること
お母さんは牛からはミルクを取り、バターをつくり、
羊の毛を刈ってつむぎ家族中の服に仕立てること。
すべてが自給自足でまかなわれ、農夫は独立した自由な人
という誇りを持って生きている家族がここにあります

小さいときから家の手伝いをして、早く一人前になりたいと願う
アルマンゾがとてもいきいきと見えます
私がこの作品が好きなのは、本当にたくさんの食べ物が出てくるところです
お母さんの手作りのごちそう、おやつ
アルマンゾは働いて疲れておなかをすかせて、
それを余さずたっぷり食べてしまうところが
幸せだなあと感じます


 
 

ムーン・キング  
シヴォーン・パーキンソン作 乾有美子訳 岩崎書店

継父の暴力で心に傷を負い、言葉を失った少年リッキーが
ケリーかあさんの家の屋根裏で月のいすにすわり
心を癒されるおはなし
ケリーさんは、家庭の事情でいえにいられない子ども達を預かり育てる
「フォスター・ハウス」の経営者です。この家は高台にあるうえに窓の細長い
背の高い家で、リッキーは最上階の屋根裏に部屋を与えられます
階段の踊り場の向こうは物置でそこで見つけた月のいすに座ると
家での怖い出来事や新しい家でのいじめなどを忘れることができ
自分はムーン・キングなんだと思うことができます

言葉の出ないリッキーでしたが、素直でがんばりやなので子ども達に好かれます
特にたんぽぽ色の髪をしたロシーンはリッキーの月のいすのことを理解して
「あんたはムーン・キングよ」とはじめに気がつくのです
反対にヘレンは、新入りのリッキーが気にいらず意地悪をします
道をふさいだり、リッキーの書いたロシーンの絵を汚したり
リッキーを家に帰そうと策略しますがリッキーには大変なストレスでした

継父に殴られる家には帰りたくない
そういうリッキーの心を逆なでしたヘレンも
リッキーの家出を機に考えを改めます
ロシーンが最後までリッキーの見方をして
月のいすを家の人たちにさらしてはならないと決心するところが
いじらしくてかわいかったです。

言葉の出ないリッキーの心の中が話の合間に挿入されていますが
自分はクモの子だと思い込み隠れよう隠れようとする気持ちが哀れでした
自分はムーン・キングだという自信と
家のみんなに愛されているという確信が持てたときに
やっと「ぼくは、ムーン・キング」と言えるようになります

あったかいお話です

 
 

家なき鳥
   グロリア・ウィーラン作 代田亜香子訳 白水社

「女は三界に家無し」という古いことわざがあります
家なき鳥はそういう悲惨な境遇の少女コリーのお話です

舞台は近代インドだと思うのですが、カースト制がまだ残るインドは
女性の人権は認められていないに等しい
結婚は持参金つきで男の家に行き、当日まで顔も知らない
持参金はすべて取り上げられて、実家へ戻ることはゆるされない

なんだか日本の江戸時代みたいな話ですが
コリーの結婚相手はなんと病気で余命幾ばくもなく
死出の旅路にガンジス川へ行くためのお金ほしさに
コリーを嫁にもらったというのです。
相手はガンジスで死に、姑にこき使われる日々が始まります
インドにも寡婦年金のようなものがあって、
コリーは当然それを受け取る権利があるのですが、
姑にそれを知らされず黙って横取りされてしまいます。
コリーの心の慰めは舅にタゴールの詩を教えてもらい字を習うこと
義妹と打ち解けて話し合うこと、幼いときから母に教えられてきた
手仕事キルト作りをすることでした

心の支えだった舅が死に、義妹も結婚してしまうと
姑はコリーを追い出す作戦に出ます
それがインドでは日常茶飯事に行われている様子なのがショックだったのですが
ヴリンダーヴァンという寺院町に未亡人を捨てるという習慣の存在でした

初めて優しくしてくれた姑だったのですがそれが最後の別れとなったのも知らずに
駅で姑を待ちつづけるコリーが哀れでした
けれどもコリーは幸運を自分の手でつかむのです
人力車の少年ラージの紹介で「未亡人の家」に入れてもらい
仕事と寝る家を与えられます
持ち前の前向きな姿勢がコリー自らをどん底から引き上げるのですが
いつも心にあるのは少女の頃のふるさとの風景
結婚した時の苦しかったけれどなつかしい田舎の風景
その風景をつづったキルトを持っていたことが
コリーを助けたのでした。

コリーの舅が死ぬ前にコリーにくれたタゴールの詩集
母からもらった金のイヤリングを犠牲にしてまで手元に置いたコリー
ですが、「家なき鳥」とは帰る家のない鳥のことを書いたタゴールの詩
自分のことと同じだと思っていたコリーですが
字を教えてもらったこと、キルトを縫える技術を持っていたこと
前向きでいたことがコリーを幸せにします
ああ、なんていい終わり方でしょう
おすすめです

 
 

イングリッシュ・ローズの庭で ミッシェル・マゴリアン作 徳間書店

第二次世界大戦中、イギリスの海辺の町に疎開した
ローズの一夏の物語
青春もの、だと思っていたら奥の深い感動的な物語でした
ローズは18歳で姉のダイアナに比べて出来が悪く、顔もきれいじゃない
わたしにとっては、そんな見栄えより
姉妹ふたりだけで一夏を過ごそうと決断したローズの
心意気がまず好きになりました。

雑草だらけのコテージで、ローズは封印された「狂人ヒルダの日記」
を読みます。未婚のまま、男の子を産み、それが元で狂人扱いされ
病院で非人間的な扱いを受けながら、希望を失わず自分を高めていく
ヒルダの生き方はローズに試練を与えます。

戦争中で、いつ恋人と別れるかわからない、そういう状況で未婚の母と
私生児が多く生み出されたという状況は理解できました。
でも、当時のイギリスでは私生児を産むということは罪悪だったのです。
現代でもそのことは少しも変っていないと思います。
日記の部分では怒りが込み上げてきてやみません
女性に対する差別の歴史が見えてきます。

ドットという少女も未婚で子どもを産むのですが
はじめ、ローズは彼女を理解できません。
ヒルダの日記を読むうちに、
愛し合って結ばれるということを理解できるようになり
ドットもローズの立ちあいで出産に望むことになります

ローズ自身も、結婚する前に妊娠してしまうかもしれないという
危機に陥るのですが、愛すると言うことを真に教えられたのは
年の離れた古本屋の主人アレクでした
ローズがはじめに恋愛ゲームに陥った相手の義理の従兄弟だったのですが
まさかアレクがヒルダの実子だとは気がつきませんでした
ヒルダが偏見や差別と闘いながら、生き続けたことは
ローズにもドットにも、アレクにも生きる力を与えたのだと思います

一夏の経験がローズを自身に満ちた女性に仕立て上げたもの
それは狂人と言われながら、賢明に生きたヒルダの力
ヒルダを理解しえたローズ自身の力だと思います

 
 

マディソン通りの少女達シリーズ  ジャクリーン・ウッドソン作 ポプラ社

「マーガレットとメイゾン」
「青い丘のメイゾン」
「メイゾンともう一度」

三部作で通して読んで、胸がキュンとなりました
思春期の少女の心中がていねいに描かれていて、
悲しさもうれしさも同時体験できたような気がします
マーガレットとメイゾンは、小さい時からの親友だったのに
メイゾンが私立学校へ転校してしまう事から、友情にひびが入ります
マーガレットの父がその頃病死し、
仕事が忙しい母に代わって幼い弟の面倒を見なければならなくなります
「人は変わるものだよ」、というおばさんの言葉が理解できないマーガレット
メイゾンからの手紙を心待ちにしているのですが、長く返事を待った挙句に
帰ってきたのはメイゾン自身でした。
よそよそしいメイゾンは心に傷を負っていたのでした。
青い丘学園では、黒人の生徒はたったの5人
自分の居場所が見つけられずに帰ってきてしまったメイゾンでした。
メイゾンもマーガレットも、マディソン通りのそばにできた私立学校に通うのですが
メイゾンには新しい白人の友達ができ、マーガレットは拒食症になります。
メイゾンのいなくなったお父さんが突然やってきていっしょに暮らす
メイゾンが家出する。

いろいろな体験を通り越して、ふたりの友情は元通りになるのですが
父を亡くした悲しみ、友だちを失うかもしれないという恐れ
体が次第に大人になっていくことへの不安、
人は変わるものだよ、いうことが理解できるようになるために
少女はいろいろな紆余曲折を経るのだな
ということを、感じました
作者自身の体験した思春期の不安を、
マーガレットとメイゾンのふたりに体現させる技はすばらしいと思います。
私自身が思ってきたことを代わりに言ってくれたような感じを味わいました

 
 

 ジェリコの夏

    ジョハナ・ワーウィッツ作 BL出版

父母を亡くし、姉と二人暮しをしている少女ドーシが
一夏をバーモント州ジェリコで過ごすお話。
アメリカの貧乏な家庭の子に、田舎の生活を体験させて健康に、
という目的の「フレッシュ・エアー基金」でドーシは田舎の家で夏を過ごします

姉が働いて貧しい暮らしをしているドーシには、食べるもの身に付けるもの
道具すべてのものが大きく、きれいに見えます
ドーシはユダヤ人であるため食べ物に制限があり、そのことで
この家の子ども達とそりが合わなくなります
図書館で借りていた「赤毛のアン」をこの子に貸したことで
二人の間に亀裂が・・・

ピクニックに行ったときに大雨が降り、彼女が本を置き忘れてきたからです
でも、ドーシはこのことを彼女の母に告げ口しなかったので
彼女は弁償するお金を稼ぐためのベリー摘みに協力します。
お金はたまらなかったのですが、ドーシが納屋の家事を発見して
知らせたことのお礼にお金をもらえ、この家の家族と理解が深まるという結末です

ほたるの光を知らずに、火事だと思い込んだドーシ
二度目の光は本当の火事だと知ったドーシ
姉の働く工場が火事になったら、姉は助かるのだろうかと
真剣に思うドーシの気持ちが、火事場の喧騒の中に描かれているシーンが
よく理解できなかったのですが
アメリカで、実際にあった工場の火事で女工が何人も犠牲になった
という、事実に基づくものでした。

ユダヤ人への差別と偏見、貧乏人へのさげすみ
それを解決するのが「フレッシュ・エアー基金」とは本当の話です。
途中で出てくるベントレーさんが実在の人物であるのを知りました

「雪の写真家 ベントレー」 BL出版  メアリー・アゼリアン作、絵

 
 

ぬいぐるみを檻に入れられて 

   ジェニングス・マイケル・バーチ著  暮らしの手帖社

事実は本当に胸を打つものなのだ
筆者の幼年期は父が家におらず、母は5人の子の育児と生活費のために
病気ばかりしていて、下から二番目の筆者ジェニングスはそのために
施設を転々とさせられる。初めての施設で、夜のベッドでぬいぐるみを
抱いて寝ていいことを知って、犬のドギーに母への思いをぶつけるジェニングス
たったの8歳で、施設の厳しい規則とおしおきに耐えなければならない。

ぬいぐるみは、子ども達が眠ってしまうと鍵をかけられた戸棚の中に
押し込められてしまう。「あなた一人だけのぬいぐるみではないのよ」
と言われたって、幼い子には酷だ。友だちができたって
いつかは別れなければならない。だから近づきすぎるのはやめる
そんなことを幼い子に納得させてしまう環境は、いったいなんなのだろう。

一番慕っていたすぐ上の兄の家出
一番上の兄が酒におぼれている
メチャクチャな環境なのに、ジェニングスの気持ちはひたすら母へ向けられている
母も、家族そろって暮らすことを一番に考えている
たとえ家に帰れてもまた母の病気や怪我で別の施設や
里親の家に行かなければならないジェニングス、
ドギーを心の支えにしてひたすら、母が迎えに来るのを待つジェニングス
里親の家で、服を買ってもらえず、慈善箱の中の服を着て
学校の友人にさげすまれるなんて、こんな不合理があっていいものだろうか
どんなにがまんしてもどんなに待っても、幸せがやってこない

そんな中にも、病身の兄ジェロームやバスの運転手セス、施設の友人マーク
との出会いがジェニングスに温かい心をもたらせてくれていた。
兄たちのように、世間に背中を向けてしまわず
自らの体験を本にできたジェニングス・マイケル・バーチ氏にに尊敬のまなざしを送る

 
 

ライディング・フリーダム 嵐の中をかけぬけて

   パム・M/ライアン作 こだまともこ訳 ポプラ社

女でありながら、自由を勝ち取るために死ぬまで男装して生き抜いた
人の実話を元にした話です。
孤児院にいたシャーロットの夢は自分の土地をもって馬を飼うことでした
馬の世話なら誰にも負けない彼女は孤児院を脱走した時から髪を切り
男になります。孤児院からの追っ手の目をごまかすため、
厩務員として働くために女であることをやめたのでした。
当時のアメリカは西部開拓時代、女性の地位はまだ低く選挙権もなかった頃です。
女とわかったら、仕事を奪われ夢も成し遂げられない
自由の身になるための手形が男装だったのです。
彼女のことを唯一知っているのは馬車屋の親方エベニーザだけでした。
それを知りながら彼女の腕を信じて騎手に育てあげていくところなど
自由を愛するアメリカ人だなあと思わせます。

チャーリーと名を変えた彼女は名騎手となって馬車を操るのですが
金儲けのためにカルフォルニアへ行った矢先に事故で片目を失ってしまいます。
それでもなお、不屈の精神で馬車を操れるように訓練し、元の腕と名声を取り戻し
念願の土地を手に入れ、男として大統領の選挙人に立候補します。

女のままでは絶対に与えられなかった権利を行使して、自由になったシャーロット
生涯女であることを明かさずに生きたそうです。

平成になってから、女性の時代、と言われるようになりました
男女雇用機会均等法ができる前は、明らかな男女差があったし
世間一般、学校内でも女がちょっと目立つと「女のくせに」と言われました
その前の時代の人は、就職もできなかったり、選挙権もなかった
そういう時代のさきがけをしていた人が、ライディング・フリーダムの
中にいたのでした。
今の女性は先達が培ってきた権利を、
はじめからあるものだと勘違いしている人が多いようです。

男女差別を、女であることが不利だと身をもって感じた私でさえ
それを忘れていました。自由のために闘うとはどういうことなのか
久しぶりに考えることができました。

 

 
 

ビリー・ジョーの大地  カレン・ヘス作  理論社

1934年、世界大恐慌のアメリカ、
オクラホマの開拓地に住む少女ビリー・ジョーの心の叫び

土ぼこりと、日照りで小麦が育たないオクラホマの大地にしがみついて暮らす家族
男の子に生まれなかったけど、父にそっくりなビリーは14歳で、
日々の思いを日記に詩のかたちで書いています。
父母への反発、素直になれない自分を書いていますが
貧しいけれど普通の暮らしだった家庭がある日を境にひっくり返ります。

父がストーブの横に灯油を置きっぱなしにし、母が知らずに火をつけてしまう
ビリーは、家事を消そうと火のついたバケツを外へ放るのだが、
母のからだにかかってしまう。
やけどに苦しんだ挙句弟を産み落として死んだ母。
母を助けようと素手で火を消して両手に大やけどをしたビリー。
母の貯めていたお金を飲んでしまう父。

親戚の心無い非難。父の過失と裏切りをゆるせない。
ピアノが大好きだったのに引けなくなってしまった絶望。
父との会話がまったくなくなってしまったこと。
でも父も、娘も一人になることを恐れていた。
最後には、二人の関係は修復されるのです。
彼女の葛藤が意外にも冷静で
覚めた言葉で書き綴られています。
思春期の揺れ動く気持ちが突き刺さります。

 
 

ナバホの歌  スコット・オデール作 岩波書店

リトル・トリーに挿入されていた、ナバホ族の大移動がとても気になったので
読みました。ネイティヴ・アメリカンの歴史で一番悲惨で許されないことは
「インディアン強制移住策」でした。アメリカは開拓時代にインディアンを不毛の土地に
追いやり、同化策として言葉も習慣もアメリカ的にさせようとしました。
この物語は
少女アカルイアサが、運命に負けずに強く生きるこころが描かれています。

奴隷商人にさらわれて白人の家で家事の手伝いをさせられる彼女は
なかまと計画して逃亡。家族の下に帰ります。
その後合衆国の政策で強制的によその土地へ移住させられます。
アメリカ人は彼らの畑を覆し、モモの木を切り倒し、
生活ができない状態にして移住せざるを
えない状況に追いやるという卑怯な手段を使います。
そして、わずかの食料だけで延々と何日も歩かされる
何万ものナバホの人たちは涙を流さず、ひたすら耐えるのです。
涙を流したのは沿道で、彼らに同情した白人たちだといいます。
アカルイアサは、別の部族の女の人から赤ちゃんを預かります
自分の食べるものを節約して、この子に食べさせ
家族に非難されながらもいっしょに旅をするのですが、
赤ちゃんは死んでしまいます。
見知らぬ人の子どもなのに食べ物を分けてあげられて、
その死を悲しんであげられる。
そんなふうに強く優しいアカルイアサです。

アカルイアサは、なんとしてでも自分の家に帰ろうという信念を捨てず
わずかな食物を少しずつ蓄え、生まれる子どものために逃亡しようと
夫を説得します。彼女の父母も、夫も逃亡の勇気はないのですが
彼女の信念が夫を突き動かして、ついには元の土地に帰ります。

現在、ナバホの人々は何箇所かに分かれて居住しているそうですが
アカルイアサのような勇気ある人々が
戻ってもとの暮らしを回復したことの証しだと思うのです。
今でも、大地に祈りをささげ森羅万象の神々を信じるナバホの人々の
生き方を理解することが大切なのではと思いました。
日本でも、沖縄や北海道で悲惨な同化政策が行われていたこともあわせて
理解すべきではないでしょうか。

 
 

リトル・トリー フォレスト・カーター作 めるくまーる

リトル・トリー(ちいさな木)は、作者のインディアンネーム
チェロキー族の血を引く彼は、幼いころに父母に死に別れ
祖父母に育てられます。祖父母のチェロキーの生き方を受け継いでゆく
リトル・トリーの回想録。

私は、
「モヒカン族の最後」や「アメリカインディアンの教え」「ナバホの歌」などで
ネイティヴアメリカンの行き方に共感していましたが
祖父母が孫を前にして、教える言葉、行動そのものが感動を起こしました。

それは、チェロキーのおきてに基づいていて
自然がすべてであって人はその一部に過ぎず、
自然の恵みに感謝して生きるということなのです。
アメリカ合衆国の悲惨な政策のひとつにインディアンの強制移住があり
チェロキーの人々も、不毛な地域に移住させられる途中で
何万人もの人が死んでいきました。
その中でも誇りを失わず、涙を流さず生きた人たちの姿は
そのままリトル・トリーの祖父母の中に現われていました。

ガラガラヘビに襲われたリトル・トリーを、自分の腕を犠牲にして助ける祖父
毒の回った祖父を必死で助ける祖母の姿にジーンときました。
行商人のワインさんの 
「わしの家族はな、みんな大きな川のずーっとむこうにおる。
みんなといっしょにいられるようにするには、たった一つしか方法がないんじゃ。
毎晩決まった時間にろうそくをともす。こうすると、みんなの思いはひとつじゃから
どんなに離れていてもいっしょにいられるんじゃ。」

この言葉に、家族と離れたことのない自分の甘え、いつでも誰とでも通信ができる
自分への怒りを感じました。ワインさんのこころの豊かさも感じました。
ワインさんは、自分が死ぬときろうそくを
家族とはなれているウィロー・ジョンへ渡そうとしました。
人の悲しみを感じることのできる人、それがチェロキーの人なのです。

リトル・トリーが法律という冷徹な手段で孤児院へ入れられてしまうときも、
祖父母は冷静です。

「どんなところにいても夕方になったら
天狼星(ドッグスター)
を見なさい。」
と祖母の言った言葉は、ワインさんのろうそくとおなじことなのでした。
孤児院で、院長に偏見と差別の目で見られたリトル・トリーは
「体の心(ボディ・マインド)を眠らせ、霊の心(スピリット・マインド)で苦痛を耐える」
ことを教えてもらっていたので、体罰の痛みに耐えぬきます。
そして、ドッグスターのおかげでおじいちゃんに再会できるのです。
なつかしい我が家へ、でもそこには優しい人々との別れが待っていました。

たった一人で死んでゆくウィロー・ジョン。おじいちゃんにおばあちゃん。
それぞれの死は誇りに満ちていて幼いリトル・トリーに生きる力を与えてくれたのでした。

「今生も悪くなかったよ、リトル・トリー。次に生まれてくる時はもっといいじゃろ。
また会おうな。」
「リトル・トリー、風の音を聞いたら、木々を感じるようにわたしたちを感じてちょうだい。
おまえが来る日を私は待っています。次に生まれるときはもっとよくなっているでしょう。」

日本人がかつて持っていた輪廻転生の考え
忘れてしまった耐える心、人の痛みを感じる心
そういうことを教えてくれました
冬の夜空に輝くおおいぬ座のシリウス、わたしの大好きな星が
天狼星(ドッグスター)でした。

 
 

からくりからくさ 梨木香歩作 新潮社

「りかさん」の続編であることを知らず読み始めました
ようこちゃんは、染色家の先生の下で修業する大人の女性に成長し
おばあちゃんは、なくなっていました
おばあちゃんの家を女子大生の下宿にしたことから
りかさんの起源を巡って四人の若い女性の因果が解き明かされていきます。

からくりからくさとは、唐草のからくりと言う意味だと言うのが最後まで読んで
わかったのですが、りかさんと対のお人形が下宿人の紀久の実家のおばあさんの
お墓から出てくることから、からくりが動き出します。

お人形を持っていたのは異母姉妹で、娘達の人形におなじ衣装をつくり
大事にしていたその女性の怨念がすさまじいまでに
末裔に現われてきます。ここのところは「りかさん」の人形のくだりと同じで
背筋に冷たいものが走ります。

下宿人四人がすべてりかさんのつながり、人のどろどろした面でつながっている反面
手仕事でつながっているのがこの話のきれいな一面でした。
染め織りをして自分を確かめる、そういう女性の心の美しさが
りかさんを最後に天上に送ったのだと考えます。

おばあちゃんの家とともに炎上するりかさんを、「きれい」だと言葉も亡くして
見守る蓉子たちにわたしも共感していました。

 
 

緋色の皇女アンナ トレーシー・パレット作 徳間書店

11世紀、ビザンチン帝国におこった事実です
緋色の産室で生まれたアンナは、
父の皇帝アレクシオス一世の世継ぎを
生まれながらに約束されていました。
彼は第一回十字軍を率いた皇帝で、遠征で留守にしているときには
その母アンナ・ダラセナが政治を行っていました。
アンナは、祖母のアンナ・ダラセナに
皇帝としての教育を受けるのですが
アンナに弟が生まれます。
ヨハネス(後のヨハネス一世)
ヨハネスは、勉強も出来ないし性格も凶暴と言うことで
アンナの世継ぎの座はかわりがなかったのですが
アンナは祖母の企みに気付いてしまいます。

自分の操り人形として孫を教育し、影の支配者として君臨するのが
アンナ・ダラセナの目的でした。
操り人形となるのを拒み、自己主張したアンナは祖母から疎まれ
ヨハネスの罠にかかって、世継ぎの座を追われます。
母と組んで弟に毒を盛ろうとしたアンナは、修道院へ追放され
弟への憎しみを燃やします。

ヨハネスは、たわけのふりをしていて、父におべんちゃらを使い
姉を陥れるのですが、もっとすごいことには、祖母をも追放しようと
計画を練っていたことです。
そのままで行けば、祖母の言いなりになったヨハネスですが
皇帝になったとたん自分の政治を行いました。
後に「麗しのヨハネス」と言われるくらい善政を敷いたとあとがきにあり
おどろきました。たわけになりきってまで、悪政の元凶、祖母を
追い落とし自分が成り代わるということを子どものうちから
理解していたとすればすごい天才です。

アンナは修道院で父アレクシオス一世の物語を書き上げたとあります。
弟を憎んだ原因は、父が自分ではなく弟を世継ぎにしたこと
というより、尊敬し愛する父に甘えられなかったのに
弟にはそれができたことにあると思いました。
父への敬愛が、アンナに執筆させたのではないでしょうか。

ビザンチン帝国といえばローマ帝国から分かれて東に残った
ローマ正教の国、後に「コンスタンティノープルの陥落」で知られる
オスマントルコに滅ぼされる国。
重厚で儀礼を重んじる国柄が、読んでいて伝わってきました。


「コンスタンティノープルの陥落」 塩野七生作 新潮文庫

 
 

スターガール  ジェリー・スピネッリ 理論社

話題の新刊。
ラブストーリーだと聞いていましたが、
読み終えて胸がキュンとなりました
みんなと違った強烈な個性を持ったスターガールは、
人のためにいい事をしたい、
それが自分の幸せだと思っていたようです
冒頭で、この物語の語り手であるレオに
「ヤマアラシのネクタイ」が届いたこと
ハイスクールで、誕生日の歌を贈ったり、
手づくりのカードを送ったこと
それらは、彼女の幸せだったのです。

チアリーダーで、他校のチームを応援してしまったことが
彼女の破滅を導いてしまいます。
彼女を無視する生徒たちの中で、
レオは彼女に恋をし付き合うのですが、
二人だけが阻害されていると感じてしまったレオは
彼女を避け始めます。

彼女の家にあった、幸せを計る石を置いた棚
レオと付き合っている時は石の数が最高に多かったのに
物語の終盤でスターガールが本名のスーザンに戻ってしまった時
石の数は最低になります。

レオは、彼女がいなくなった時にやっと自分がスターガールの大切な
存在であったことに気付くのですが
彼女の苦しみを理解して上げられなかったことを
悔やみます。
スターガールが、レオのアルバムをひそかに作っていることを知った時の
レオの脱落感がぐぐっと伝わってきました。

どこかにいるかもしれないスターガールを感じながら、大人になって
仕事をしているレオの寂しさが、いつまでも心に残りました

 
 

奇跡の子  ディック・キング=スミス 講談社

ギリスの農場に捨てられたこどもは重い障害を負っていました
その子スパイダーが、農場で養父母の愛情に包まれて
自分の眠っていた能力を呼び覚ましながら育っていくお話。

スパイダーは、動物の気持ちがわかる子でした
男達にも手におえない荒馬をなだめたり、鳥と話したり、
きつねと弁当をわけあったり
第二次大戦中のイギリスは
農場の仕事をする男手が足りなかったので
スパイダーにも仕事が回ってきました
畑を荒らすからすを追う仕事でした。

障害者に対する差別、偏見が
当時は今よりあからさまだったはずなのですが
「こどもに仕事を」、という養父母と
地主であるミスターの大らかさが
スパイダーを一人の人間として見ていることを思わせました。
農場の豊かな自然も彼を、やさしく包んでくれたのでしょう。

木彫りの才能があることに、自分自身で気付くスパイダー
やさしくしてくれた養父母やミスターに木彫りを贈るスパイダー
読んでいて暖かいものを感じました。

彼の心臓に疾患があるとわかり、
それが元で彼は突然死してしまうのですが
彼の死顔には笑みが浮かんでいました。
しあわせとは、なんだろうと考えた結末でした。

 
 

大草原の奇跡  アラン・W・エッカート めるくまーる

「アナグマと暮らした少年」で岩波書店から出ている本の新訳
ベンは家族、特に父に心を閉ざして
動物の声や動作を真似ることが好きな少年でした。
発育が遅い、話さない、家の手伝いをしない
開拓時代のアメリカでは、つまはじきされてしまいます。

草原で出会ったメスのアナグマと心を通わせるベンですが
隣人の罠猟師にアナグマ(オス)を殺され、
その皮を父がはぐ場面に怒りを感じたベンは
、いっそう父に固く心を閉ざしてしまいます。

大草原で迷子になったベンは、
偶然にもメスのアナグマに出会います。
本当なら、アナグマにかみ殺されてしまうか、
飢えて死んでしまうはずですが
子どもを亡くしたばかりのアナグマに母性が残っていて
ベンに獲物を捕ってきては、一緒に食べる、
べンは罠で傷ついたアナグマの足を
治療してやる、そういう共同生活が始まりました。

アナグマの生態が作者によって克明に描かれているのがこの本の
特徴だな、と思いました。
肉食で獰猛、慎重で賢く、きれい好きと言うのがアナグマだったら
絵本の「わすれられないおくりもの」のあなぐまのイメージとは
かけ離れています。
でも、アナグマはベンをずっと親いつづけ、
ベンが奇跡的に兄に見つけられて
家に帰ったあとでもベンの行くところには
必ずついていくところなどは
絵本のアナグマに似ていました。

ああでも、なんで最後にアナグマを罠猟師によって殺させるのか
これは作者の意図でした
ベンが生還したことではなく、最後に父と子の心が溶け合ったのが、
「奇跡」なのだなと感じました。

 
 



モリー・ハンター作 評論社

スコットランド北部海岸と、周辺の島にだけしか見られない「ブロッホ」という
石の建造物から壮大な空想を練り上げた、
本当にあったであろう歴史の物語です。

ローマ軍の奴隷狩りが行われていた紀元前一世紀から200年の間
スコットランドと周辺の島の悲惨は、主人公
コルの不自由な足と
ローマから隠れたいというおそれに現れています。
父母を失い、弟とは生き別れたコルは族長の養子として育てられますが
彼がいつもしていたことは「砦」の模型を作ることでした。

ケルト社会では族長より、ドルイドが大きな権限をもっていたようですが
ローマからの略奪を防ぐためには氏族の同盟が必要というドルイドと
あくまで戦うという族長の間に亀裂が生まれていました。
それを利用して権力を握ろうとする者
ローマの鉄器から安全に隠れるための「砦」の建設を訴える者

その中でドルイドの力が圧倒的に勝っていることを見せ付けられ
強権に屈してしまうかと思われたいけにえの儀式で
どんでん返しがあります。
この部分のケルト的な考え、行動がものすごくリアルなのです
歴史上の人物を描いているのかと錯覚させられてしまいます

ついにはコルの「砦」が建設されるのですが
一人の天才によって考え出されたとは思えないような
よく考えられた構造になっています
最後のローマ軍との戦いのシーンは報復とはいえ
正義感がみなぎっています。
自分の氏族のために戦う・・・・
奴隷狩りからスコットランドと島の氏族を守った
誇りに満ちたコルの姿が心に焼きつきました。

カーネギー賞受賞作品
なぜか、サトクリフの主人公の描き方に似ていて驚かされます

 
 

サラの旅路     ヴィクトリア時代を生きたアフリカの王女  
ウォルター・ディーン・マイヤーズ  小峰書店

アメリカではまだ奴隷制度があった時代のイギリスで
奴隷売買に反対する動きがありました。
その一方でアフリカの奴隷海岸と呼ばれる地帯で、
ダホメー国の王ゲゾは自らの地位を高めようとするため
隣国のエグバド人を襲って虐殺したりあるいは奴隷として
ヨーロッパの国に売っていました。
ルーツなどで読んだ私の知識でもアフリカ人同士で
隣村の人間を虐殺、捕獲などして
奴隷にしていることを知っていましたが、
現地の王がそのような行為の黒幕であることを
初めて知りました。

この話はノンフィクションで、虐殺されかけたエグバド人の王女が
イギリス海軍のフォーブス艦長に助けられて、イギリスに連れて行かれ
ヴィクトリア女王の養女の形で異国の地で生涯を過ごす、という話です。

初めは奴隷制度を糾弾するような鋭い話かと思いましたが
祖国と家族を失った一少女の波乱に満ちた生涯を描くものでした
アフリカで死んでいたかもしれない彼女サラは、女王の名のもとに
高級な生活を体験しますが、彼女は恩にむくいて努力を惜しみませんでした
でも、彼女の心は落ち着く場所を知りません
なぜなら、どんなに慕っても養父母は自分の親ではなく、
祖国はアフリカなのですから・・・
やがて結婚の話が出て、
黒人の実業家と結婚するように言われるのですが
愛してもいない人と結婚するのはまちがっていると感じた彼女は悩みます。
悩んだ挙句に結婚するのですが、女は家庭に入って落ち着いて・・・
という古い考えがそこにありました。
結局、結婚しても彼女は落ち着くことがなかったため
36歳という若さで病死してしまいます。

人はみな落ち着く先をもとめているのに、
戦争、貧困などによって
かなえられないで死んでいく人が
この世の中にどれだけいることか・・・・
筆者はここには言及していませんが、平和の追求を感じる本です

 

森は生きている        マルシャーク小学館  「世界の名作」

わがままな女王によって娘はマツユキソウを
冬の森へ取りに行かされるのですが、
12の月の精が4月にしか咲かないこの花を咲かせてくれます。

4月の精からもらった指輪を意地悪な姉に取られ
危険な目に会いながらも、
娘は12の月の精に守られて、美しく気高い姿に変身します。

女王はあくまでも権力と富の力を使って
娘に自分を助けさせようとしますが娘の心根に改心します。
姉は逆に、意地悪を通したために
その母親とともに犬に変えられてしまいます。

12の月の精が交代するごとに季節が変わって行く、
その美しさがここにあります
マツユキソウとは私の庭にもある「スノードロップ」です
女王がこの花を1月にどうしても見たいとわがままを言ったわけが、
ロシアの冬の厳しさと関係が深いような気がします

 
 

金子みすゞ豆文庫      
金子みすゞ JULA出版局

手の平に乗るくらいの豆本に
金子みすゞの詩がちりばめられています。
構成は  
「大漁・仙崎八景」「花のたましい」「みんなをすきに」
三冊からなっていて
どれもキラキラしていてみずみずしい情景が
浮かんでくるような詩が集められています。

つゆ

だれにもいわずにおきましょう

朝のお庭のすみっこで
はながほろりとないたこと

もしもうわさがひろがって
はちのお耳にはいったら

わるいことでもしたように
みつをかえしにゆくでしょう

 
 

のはらうた   工藤直子  童話屋


      楽しくてかわいくて、懐かしい詩集です
      ちいさな虫達、花や木、草が詩の中で生きています。

     かわあそび   あらいぐまげん

      みずたまの  はねちるみずべ
      てのひらで  うずまくながれ
      さかなたち  はしれ はねろ
      かわは ぼくのすずしいともだち

 
 

「小さな家」シリーズ 
ワイルダー著 岩波少年文庫 青い鳥文庫

「大きな森のちいさな家」 「大草原の小さな家」
「プラムクリークの土手で」
「シルバー湖のほとりで」「農場の少年」
「大草原の小さな町」
「長い冬」「この輝かしい日々」
「はじめの四年」

テレビドラマでおなじみのあの名作の原作少女ローラが自らの生い立ちをもとに、
開拓の暮らしを書いた物語です
60歳を過ぎてから書いたとは思えないほどいきいきとした文章で描かれています
少女のローラが見た大草原、幌馬車、新しくできた町、イナゴの大群、野火・・・・
どれもが、わたしの目の前に映画のようにあざやかに現れます
弟の死、姉の失明、火事、長く厳しい冬、

悲しいことが次々に起こってもローラは明るく立ち直ります。
彼女の強さ、やさしさ、賢さが共感を呼ぶのだとわたしは思います

現代の人々が忘れてしまった大切なこと、それを教えてくれます

 
 

長い冬  
ワイルダー作  岩波少年文庫


  インガルス一家が大草原の小さな町で10ヶ月も続く厳しい冬に遭います。
  食料、燃料もそこを尽き干草をよった棒を燃料にしたり
  わずかな小麦を交代でひいて懸命に生き抜きます

  やっとめぐってきた春のすばらしさ、うれしさを、
  あふれるような喜びで表現しています
  現代の人々に不足している何かを、教えてくれる一冊です

 
 

「悪童ロビーの冒険」     
 キャサリン・パターソン著 岡本浜江訳 白水社

今からちょうど百年前、19世紀末のアメリカで「1900年にはこの世がなくなる」
と思い込んでいた少年の悪と善を描いたおはなし。

ロビーは父が牧師だということに反発して悪さを続けます
彼には知的障害の兄がいて、兄を負担におもいつつ、父がじぶんより
兄に深い愛情を示すのを見てやりきれなさを感じています。

兄がお祭りの日に行方がわからなくなった時、父が泣くのを見て
自分のためには父が泣いてくれはしないだろうという不安を抱きます
そんな時、隠れ家にしていた小屋で出会った浮浪者親子に
ふしぎな同情をいだくロビー。
酒飲みで仕事をしない父親をかばって仕事(ぬすみ)と食事の世話をする
少女のために、食料を運んできてやるロビーには
善悪を判断する心が戻っていました

悪さをしたのも、知的障害の兄の方が自分より父に愛されている
という思い違いから来るもので、結局は父の愛が欲しくて
していたことがわかって何だかほっとさせられました。

軽快な語り口で、トムソーヤーみたいな話かなと思っていました
隠れ家、浮浪児、いたずらとくればよく似たお話ですが
牧師のお父さんの存在が初めは堅苦しく、
反発を感じるロビーの気持ちもわかるような気がしました。
あとで二人の息子を大事に思うあたたかいお父さんだったことがわかったこと、
兄のエリオットが弟思いだったことが
わたしの心をさわやかにしてくれました。

 
 


「時の旅人」  アリソン・アトリー作 松野正子訳 岩波少年文庫

 

ペネロピーが病気で療養していたダービシャーは、
母の実家でもあり、何百年も変わらず
牛を飼い、バターを作り、農作業に従事してきた家柄でした。

この古い家でペネロピーは
タイムトラベルして
400年前の時代に迷いこんでしまいます。
時はエリザベス一世の時代、スコットランドを併合して
その女王アンが幽閉されていたころでした
サッカーズ農場(ダービシャーの荘園のなかの農場という設定になっています)
の主、アンソニー・バビントンはアン女王の逃亡に荷担して
のちに捕らえられるのですが、
ペネロピーが見たものはサッカーズの屋敷の地下にトンネルを掘って
アンをそこから脱出させるという計画でした。
世界史の教科書にもありますが、
アンはエリザベスに捕らえられて断頭台に乗せられます。
それを知っているのは、未来から来たペネロピーだけ。
サッカーズの人々と心を通わせれば通わせるほど、
このことが彼女の苦しみとなります。

緊迫した心の葛藤が描かれているはずの本作なのですが
自然の木々や花、食べ物の匂い、人々の会話からは
ゆったりとした豊かなものしか感じられないのです。
これはアトリーの作品の特徴です。
400年も経っているのに
建物の外観、部屋の配置、建具、ハーブガーデンのハーブの香り、
などがほとんど変わっていないということに驚かされます。
彼女はタイムトラベルしたのは夢の中だったといっていますが、
変わらない空間、変わらない人の心
にふれる旅ができる
彼女の心は魔法です。
そういったアトリーの魔法が
「農場にくらして」にも著されているのです。

イギリスの田舎では、ナショナルトラストで昔の風景が
そのままに保存されているそうですが
古いものを大切にする気持ち、ありのままを受け入れる心の豊かさ・・・・・・
アトリーの作品にはそういったことに共通した精神が息づいています

 
 


「クマよ」   星野道夫 文、写真 福音館書店 (たくさんのふしぎ)

  関連作品 「アラスカ 光と風」「森へ」「ムース」
「イニュイック」「グリズリー」

  
 アラスカの自然をテーマにした写真集とエッセイを書いた
写真家星野道夫の遺作。
 銃を持たずに撮影をするのはクマと近づくためだと言う
 星野氏の思いが伝わってくる作品 です。

 アラスカの雄大な写真と、クマの親子のほほえましく厳しい姿を見て
 あなたは何を感じますか
?

 
 

「農場にくらして」   アリソン・アトリー作 岩波少年文庫

グレイラビットの作者、アトリーの少女時代をモチーフに
イギリスの田舎の生活を描いた作品です。

感受性の豊かな
スーザンは、
森に棲むもの、動物や木々、花
風、月、家の中の家具にまで生命を感じています。

作品には植物がたくさん出てきます。
ハーブ、花、木、そのどれもに香りがあり動きがあり
目の前に色も形も鮮やかに浮かび上がります。
表現の豊かさは、感性の豊かさから来るものだと思います

ゆったりした時間の流れのなかでは、こんなにも想像力が
働くものだろうか。
それとも、子どものころには感じていたことを
スーザンが代わりに感じてくれているのだろうか。
ふと、子どものころの自分に帰ることのできる作品です。

ほんのちょっとしたことを宝物のように思える
何の変わりもない現象をいいなあと感じることができる
そんな、忘れてしまった子どもの心に戻れる作品です。

 
 


「あなたがもし奴隷だったら」  ジュリアス・レスター作 ロッド・ブラウン絵

関連作品  「ルーツ」  アレックス・ヘイリー作 教養文庫

ショッキングな挿絵、
実際に行われていた奴隷の売買と
非情な扱いと差別・・・
奴隷の輸送船で一枚板の上に仰向けで寝かされ、手足を鎖で縛られ
食事も排泄も縛られたままでしなければならない
何人もの黒人が死に、やっとたどり着いたアメリカでは
重労働と鞭打ちが待っている
逃亡すれば連れ戻されて、また鞭打ち
絶え間ない非道な仕打ちの繰り返し

知らずにすんでしまうことが世の中にはたくさんあるけれど、
子ども達に知っていて欲しい、
大人も知って欲しい

そういう絵本です

 
 


「黒い兄弟」 ジョルジョの長い旅  リザ・テツナー作  ベネッセ

     「スパッツァカミーノ」 煙突掃除夫の掛け声

 
19世紀のスイスでは、山岳地帯の貧しい農家からイタリアへ、煙突掃除夫として
子どもが働きに行かされました。
そこで行われた、
激しい労働と差別。
 病気になっても医師に見てもらうことなく死んでいく子どももありました。

 「黒い兄弟」とは煙突掃除の子ども達のグループのこと。
ふるさとのスイスに帰れる日を夢見て互いに励ましあい、助け合うのですが、
町の不良グループとけんかしたり、死んだアルフレドの葬儀を自分達の手で行います。

 親方の仕打ちにがまんできず、逃亡を企てる時、不良たちは同行して、手助けもします。

 かつて、このような悲惨な労働が日本だけではなく、外国でも行われていたことを知って、
人の歴史は弱者の犠牲の歴史だということを改めて感じました。


  
ジョルジョの長い旅
それは、煙突掃除夫だった彼が、悲しいこと、苦しいことを乗り越えて、
大人になり幸せになって故郷に帰るという文字通り長いお話です

 
 

「橋のない川」  住井すゑ作 新潮文庫


 いわれなき差別
 「人間はみな同じなのに・・・」

 孝二は貧しい農家の次男
 どんなにがんばっても、
 生まれる前から決まっていた差別のために
 上を向いて歩くことができない。

 さまざまな人々との出会いの中で
 誇りを持って生きること、
 差別と闘う事を学んでゆく孝二

 
厳しい時代の中で何が大切なのか
 それを伝えてくれる名作です

 
 


「モヒカン族の最後」 クーパー作 福音館書店

ディズニーのアニメ
「ポカホンタス」のテーマ

Color of the window
に共通した精神を感じます


ネイティブアメリカン、モヒカン族の最後のひとりとなった男
アンカスと、その友人ホークアイの冒険物語
滅びゆく種族としての誇りと、落ち着き払った行動、自然と一体となった生き方
狡猾な敵
マグワに正々堂々と立ち向かう姿に感動の渦が巻き起こります
白人の娘とその父親をマグワから救い出すために
アンカスとホークアイが知力と体力を結集して息の詰まる駆け引きをします
最後にアンカスとマグワ、白人の娘コーラは断崖から落ちて命を落としてしまいますが

種族の最後の者として荘厳な葬儀が行われる時、
わたしは少数民族のかなしさを感じました。

 

 

 

 


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