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わたしの原点
はじめて自分で読んだ絵本
なんども読んだ名作
なんども読んだ名作 no.2
本のtop
 

はじめて読んでもらった本

もの心ついたころから身の回りに絵本があった。
厚いボール紙でできた、「きんたろう」とか「さるかに」だとかはあったような気がする。
クレヨンで落書きしたのはきっと弟だったと思う。
母は、私が小さい頃からそういう本を子守唄代わりに読んでくれていたような気がする。
それは保育園にも上がらない頃のことだったから・・・・

そういうわたしにとって、はっきりと思い出すことができて
母が読んでくれた声、住んでいた家の壁の穴、柱の落書きの色まで
思い出させてくれる本がある。
「ひろすけ童話」 集英社版 全8巻。  初版 昭和42年4月25日

金色に光る箱に、厚い表紙の本が4冊入ったのと
銀色のケースに4冊入ったのと2種類。
保育園で母が購入したのだと思うが
当時年長さんだったわたしには重くて持てなくて
先生が「やっちゃん、いい本買ってもらったね」とバスを降りる時まで持っていてくれた。
ケースのきらびやかなこと以上に挿し絵が素晴らしかった
私の5歳の半年間はこの本で過ごしたようなものだ。

母は私に少しづつ長い時間をかけて読んでくれた
時には弟も私のそばにいて母の声を聞いた。
決して上手ではなかったと思う。
家が貧乏で中学しか出ていない母だから、働きどおしの母だから
感情込めて読む余裕などなかったはずだ。
仕事ばかりでほったらかしにされていた分、
ひろすけを読んでくれる時間が楽しかった。

小学校に上がる前に8冊全部が読み終わり、そのうち自分で読むようになり
いつか本棚にしまいっぱなしになった。
そのあとは大学の下宿に連れて行き、結婚後も私の本棚にやったきた。
20年近いブランクのあと、子どもに読んでやったとき
自分の声が母の声になって読んでいるのに驚いた。
なんと、文章全体が七五調だった。
耳に心地の良い文章と知らずに聞いていた、5歳の自分がそこにいた。
挿し絵についた手垢が、お菓子を食べながら読んでいた
あの西日の差す廊下をよみがえらせた。
古い本が放つ紙の臭いとともに。

金色の4冊  むく鳥のゆめ ないた赤おに りゅうの目のなみだ こざるのブランコ 
銀色の4冊  黒いきこり白いきこり アンデルセンどうわ イソップものがたり グリムどうわ

 

 


むく鳥のゆめ  画 深沢邦朗

お母さんのいないむく鳥の子どもが、いつかお母さんは帰ってくると信じて
秋の巣づくりの頃から冬の頃まで待ち続けます。
お母さんの羽音だと思って見に行ったところには一枚の枯葉が。
ゆめの中に出てきた白い鳥、お母さんだと思って取りすがろうとした時にゆめは覚めてしまい
代わりに枯葉に白い雪がかかっていました。
お母さんを恋い慕う子どもの子持ちがしんみり伝わってくるおはなしです。

お父さん鳥が目をつむったまま子どもに母鳥のことを何一つ話さないのが
昔は気にかかりました。お母さんは死んだとはいえない親の心なのですねえ。
すすきの穂で巣づくりをするむく鳥のマネをして、原っぱへ出かけて
すすきを集め顔に押し当てた時のあったかさを思い出します。



ないた赤おに
  画 柿本幸造

人間と仲良しになりたい赤鬼ですが、立て札を立ててお茶会をしても誰も遊びに来てくれません
親友の青鬼が、自分を悪者に仕立てて村に乱入し、赤鬼に自分を退治させるという
お芝居をして結果、赤鬼は人間と仲良くなれます。
悪者になった青鬼は、自分の家に置手紙を残して旅に出てしまいます。
友だちのために自分を犠牲にできる青鬼の友情に涙を流す赤鬼。

別れがつらくて泣くのだと子どものころは思っていましたが
うれしくて泣いているのだと知ったのは大人になってからでした。
小学校3年の図工の時間で大きなベニヤ板に「泣いた赤おに」の絵を班で描いたことがあって
私は下絵をまかされました。この本のイメージで描いたのは言うまでもありません。

 



りゅうの目のなみだ
  画 朝倉 摂

わがままを言ったり、泣きおどしをする子どもには
りゅうに食べられるぞ、りゅうのところにやってしまうぞ、
という大人たちの脅し文句が使われていました
このおはなしに出て来る男の子は、そんなりゅうがかわいそうだと思っていて
あるとき、谷間のりゅうに会いに行きます。

「ぼくの誕生日に遊びに来ておくれ」という
やさしい言葉をかけられたりゅうの目には涙が流れます。
涙は川となり、街へ流れ出し、男の子を乗せたりゅうは船になります。

誰もが忌みきらうおそろしく醜いりゅうにやさしくできる男の子が不思議な存在に思えました。
りゅうを谷へ訪ねていくと、ほんとうにそこにりゅうがいるという不思議
りゅうが船になって人のために役立つという不思議
その中には、やさしい心を持って生きようという教訓が含まれているようです
辰年の年賀状にはこのりゅうの挿し絵を参考にするわたしです。

 


こざるのブランコ  画 渡辺三郎

おとうさんざるがふじのつるで作ってくれたブランコでこざるはいつも遊びます
あるとき山火事が起こり、こざるたちも避難をはじめるのですが
こざるは大事なブランコをとりに戻ります。おとうさんは先に避難していきます。

ブランコをとって引き返す途中でネズミのおばあさんともぐらの子をたすけ、
谷間の木の枝にブランコをかけて橋の代わりにし、
動物たちをたすけるというお話。
ここにもけなげでやさしいこどもの気持ちが表れています。
ふじのつるで作ったブランコが欲しくて、母に頼んでみたことがありますが
縄で作ってくれたのは弟でした。すぐ切れちゃったけど・・・



黒いきこり 白いきこり   画 丸木俊子

黒いきこりは非情なきこり、白いきこりはやさしいきこり
大雪で驚いて里に下りてきたクマと、きつねとりすを、鉄砲で撃って毛皮にして着込む黒い木こり
殺されて雪の野原をさまよう、魂だけになった獣たちを炉端に迎えてもてなす白い木こり
黒い木こりは、毛皮を着ているのに体は少しも温まらず冷えていくばかり。
なぜなら雪女が彼の心臓を凍らせたから。
雪女は白いきこりも凍らせようとしたのですが、炉端で仲良く寝そべる木こりと獣たちの
姿を見て、反対に自分がとかされてしまいます。

悪いことをした報いに雪女に凍らされる黒い木こりの恐ろしい顔
炉端で寝そべっている白い木こりのなんともやさしい顔
雪女がとけて、春になっていく風景がとてもきれいで、何度も読んだ本です。


アンデルセンどうわ  画 遠藤てるよ

七つの夢のお話。夢の神様が子どもの目にストローのようなもので
ミルクを注ぐと子どもはとたんに眠くなってしまう。
ヤルマールという男の子が一週間に見た夢のお話。
私は全編中でこのおはなしが一番好きで
中でも火曜日の夢が好きです。

ヤルマールが絵の中へ入ってしまって、あひるが引くボートで森の中の小川をすすんでいくと
そこにお城があって、番兵どもが立っています。
番兵の打つ鉄砲玉が干しぶどうだったので
拾って食べようとしたら、目が覚めたというお話です。
森の中の小川の風景がなんともゆったりしていて楽しくて
私もこの絵の中に入りたい、と本気で考えていました。
ほかには、夢の神様の弟が死神で
彼の乗る馬の真中より前に乗っている人の顔が楽しそうで赤みがかかっているのに
馬の後ろに乗っている人の顔が歪んでいて青いのが忘れられません。

いいことをした人は馬の前に座らせてくれるけど、
悪いことをした人は後ろで、馬のしりから落ちる恐怖を味わっているということで、
わたしは絶対前に座りたいと思いました
それは今でも思いつづけています。


イソップものがたり  画 安泰

ライオンとネズミ、金のおの銀のおの、いなかのネズミまちのねずみ
がなんと日本風に描きなおされています。
子どものころは全然気付かなかったのですが・・・・

いなかのネズミは、田舎の農家の納屋に住んでいて漬物の大根や木の根っこなどを食べ
まちのネズミは、庄屋の米倉に住んでいて米俵のお米を食べています。
ポターが
「まちねずみジョニー」でイギリスの田舎のネズミを描いたのと同じだったのです。





グリム童話
  画 いわさきちひろ

私がいわさきちひろの絵に初めて出合った本だと思います
二番目は「おにたのぼうし」でした。
白雪姫でしたが、魔女の王妃が姫を殺すやり方で、毒りんごの前に毒のくしを使っています。
私の通っていた保育園にはディズニーの紙芝居がそろっていて、
その中にはちゃんとあの白雪姫もあって、その影響で毒りんごで殺すことは周知のことでした。
なので、くしを使うのは何でかな、と素朴に思っていました。
大人になってから、解説を読んだところ本当は三通りのやり方をしたのだということがわかりました
まず、ひもを使い次にくし、そして毒りんご

その後「本当は怖いグリムのお話」などが出ましたが
グリムは子どもに読ませるものではなかったということが、解説によってわかったのでした。
母は、解説を読んでいたのだろうか。
知っていたのだろうか。それが疑問です。
それにしても、素朴な疑問を20年以上も持ちつづけるなんて、いったい・・・・・

 

 

 

 


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